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第5章 ITの活用に向けた条件整備

1  現状と課題

我が国では、いつでも(時期)、どこでも(場所)、何でも(手段)、誰でも(対象)つながるインターネットなどのネットワークの形成に向けた情報基盤整備が進められている。

学校教育での情報教育の充実、家庭におけるインターネットの普及、官公庁や企業におけるイントラネットの整備普及など、わたしたちの身近な生活の中の情報化は近年著しく進んでいる。

さらに、光通信網などの高速通信網の整備推進、インターネットの著しい発達、携帯電話等の情報端末の進化、テレビ放送のデジタル化などにより、これから今以上に様々な情報を容易に入手できるような社会が予想される。また中央教育審議会でも、ITの活用は学習機会の地域格差を是正する効果やネット・コミュニティの形成による学習の促進を期待するものとして、生涯学習振興を図る上での重要な観点の一つとしている。

今後、本県においても、生活の中でのIT活用は、確実に加速されていくことになる。

しかし、県民のITに対する関心は高いものの、学習情報の収集など生涯学習における実際の活用面については、情報基盤の整備状況を含めて地域間や年代層によって格差があるのも事実である。

そこで、ネットワーク形成のための環境整備の促進や県民ニーズに応じた学習コンテンツの充実やライフステージに応じた研修機会の拡充などが求められる。

IT
コンピュータやデータ通信に関する技術を総合的に表す言葉
インターネット
個々のコンピュータ通信ネットワークを相互に結んで、世界的規模で電子メールやデータベースなどのサービスを行えるようにしたネットワークの集合体
イントラネット
組織内ネットワーク。ネットワーク同士を結ぶために開発されたインターネットの技術を使って、企業や部局のネットワークを構築したもの
ネット・コミュニティ
メンバー間で共通の関心が存在し、インターネット上で相互交流が行われるネット上における集団
コンテンツ
インターネットやケーブルテレビ等の情報サービスにおいて提供される文書・音声・映像等の個々の情報のこと

2  求められる方策

(1)  ネットワーク環境の整備

IT化社会に対応した生涯学習の振興を図るには、情報基盤体制の整備を促進しながら、県民の誰もがいつでも、どこでも、必要に応じて情報を入手したり、ITを活用した学習のできる環境を整備することが求められる。

そうした県民の求める情報や学習を享受できるネットワークを確立するには、広く行政や官民の教育関係機関・団体・施設、民間企業などが連携協力し、それぞれ有する学習情報等を共有し、提供していく体制を築く必要がある。

その際、情報漏洩防止、個人情報保護、著作権保護など情報セキュリティに配慮し、県民が安心して使うことのできる環境整備に努めることが重要である。

(2)  学習コンテンツの活用

県民の生涯学習にITを活用することにより、自宅など離れた場所からの講座受講や、映像・音声を活用した効果的な学習が可能になる。また、学習者同士の双方向のコミュニケーションが生まれ、生涯学習の可能性の新たな広がりと県民の自主的な学習への取組が期待できる。

そのためには、県民が自主的に学習コンテンツ制作に取り組めるような環境を整えるとともに、県民の制作したIT活用による学習コンテンツが効率的に蓄積され、有効に活用されるようなシステムづくりが望まれる。

また、県民が各種の教育文化施設や関係機関・団体等が制作した学習コンテンツを、必要なときにいつでも手軽に活用できるような環境を整備することが必要になる。

このように、県民主体の学習環境の整備に向け、行政、大学、企業、教育関係機関、県民が相互に連携し、生涯学習における有用な学習コンテンツを開発し、効果的に蓄積し活用できるよう仕組みづくりが求められる。

活動の例
「富山インターネット市民塾」:富山県
県、市町村、企業、大学の共同運営により、インターネットで誰でも講座やサークルを開くことができるとともに、学習コンテンツの作成をサポートする仕組みを構築している。

(3)  研修機会の充実

今後ますますIT化が進展する社会においては、県民誰でもが情報化社会の恩恵を平等に受け、生涯学習の充実により自己実現を図られるようにすることが重要である。また、様々な情報のあふれるインターネット社会においては、ルールやマナーを身につけ、有害情報等から自分自身を守る能力を身につけることも大切である。

そのためには、IT活用のための基礎的な技能、インターネット社会におけるルールやマナー、入手できる多種多様な情報の中から必要な情報を選択して活用していく能力などを身につけることのできる、ライフステージに応じた研修機会の確保が必要となる。

また、子どもたちが、家庭においてもインターネット社会におけるルールやマナーなどを発達段階に応じて身につけることができるように、保護者を啓発していくことも必要である。その中では、ITの利便性だけでなく、現実の社会における様々な体験や人とのふれ合いの重要性などについても触れる必要がある。

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