虫眼鏡アイコン

第1章 成年期における生涯学習施策について

1  成年期の学習の重要性

  平成19年答申「新しい時代における宮崎県の生涯学習推進方策について」で示されたように、成年期は、一人一人が社会を構成し、発展させる社会人として家庭や仕事、  地域において中核的な役割を担うことが期待されている。

  家庭においては、男女が互いに家庭生活に対する理解を深め、協力して家庭を築くことや、お互いが親としての役割を十分に認識した上で子育てをすることが必要である。仕事においては、職業人として現代社会の変化に対応するために必要な知識・技能の習得が不可欠である。また、地域においては、地域社会の一員としての伝統文化等の保存・継承や奉仕活動等の社会活動に積極的に参加し、互いに協力し、支え合って地域づくりに貢献しようとする意識を醸成することが重要である。

  しかしながら、成年期は、労働環境によっては、仕事優先で地域での生活時間が短く、地域の様子や活動に対する情報が不足していることがある。平成27年度の県民意識調査によれば、「日々の生活の中でプライベートな時間や家事(育児)を優先したい」と約60%の県民が希望している一方で、現実には「仕事時間を優先している」と答えた県民の割合が46.6%と最も多いという結果であった。地域の学習や活動、子育て等にかかわって、自らの人生を豊かにしたいという希望はあっても、実際の行動に踏み出せずにいる状況がうかがえる。さらに、子育てに対しては、不安を抱え孤立していたり、我が子への関わり方について学ぶ機会が少なく、親としての自覚や自信をもてないでいる状況も見られる。

  このようなことから、成年期の学習は、親としての子育ての充実や、地域社会での活躍を期待され始める時期の基礎的な部分に大きな影響を与えるものであることをしっかり認識することが大切である。

2  成年期における生涯学習施策の現状と課題

  県民意識調査によれば、「生涯学習に取り組んでいる」と答えた県民が、平成22年以降40%から50%台で推移している。市町村等における各種講座・教室等の参加者は、高齢世代が多く、20から40代の参加は少ないのが現状である。成年期における学びをいかに充実していくかが課題である。

  本県においては、成年期における生涯学習事業について、今までにも様々な取組を行ってきた。しかし、近年、公民館活動の成人教育など、市町村や社会教育関係団体等との連携・支援により進めており、県主体の事業は行われていない状況である。特に、親の学びに特化した事業は県や社会教育関係団体ともに実施していない。

  一方、県内の高等教育機関(大学等)や放送大学をはじめとする通信制大学などでは、多彩な公開講座や、テレビやラジオ、インターネットを通じて学ぶ遠隔教育講座が数多く実施されており、成年期に求められる新たな学びや学び直しに対応した専門性の高い講座も開催されている。そこで、高等教育機関等と広く連携しながら県民の「学びの場」としての活用について検討する必要がある。

※高等教育機関:学校教育法第1条に定められる学校のうち、後期中等教育(高等学校)に続く上位の学校を意味し、具体的には、大学・短期大学・高等専門学校を指す。
ページの先頭へ戻る
TOP

Copyright © Miyazaki Prefecture. All rights reserved.