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生涯学習の中心機関となる施設の設置について

生涯学習の中心機関となる施設設置の必要性

生涯学習の必要性が高まってきた社会的背景は、前記のとおりであるが、特に今後は、産業構造や就業構造の急激な変化、さらには、本格的な高齢化社会の到来を背景に、人々の生涯学習ニーズは一層高度化、専門化や多様化、個別化が進行することが予測される。

このような高度化、専門化や多様化、個別化していく学習ニーズに対応して、学習活動を効果的に支援するためには、県の生涯学習関連機関・施設はもとより、市町村、学校や企業等との連携を図るとともに、学習情報提供のネットワーク化を図り、調査・研究、指導者等養成、学習相談など、多くの機能を総合的にコントロールする本県における生涯学習の中心機関となる施設の設置が緊急かつ不可欠である。

とりわけ、最も適した学習機会を提供する機関・施設、指導者等の情報を収集・整理し必要な学習情報の提供や学習者の求めに応じた学習機会等に結び付けるための学習相談に応えるために、生涯学習情報提供「まなびSUN-NETみやざき」が平成7年1月に稼働したが、その拠点施設としての設置が緊急かつ不可欠である。

生涯学習の中心機関となる施設設置の基本的考え方

ア 多目的機能・構造を持つ施設

生涯学習を総合的に推進するため、生涯学習情報提供・学習相談体制の整備をはじめ、より高度で専門的な学習講座や資格取得、指導員養成、学習プログラムの開発、さらに各関連機関や施設との連携、生涯学習研究開発等に対応できる施設とすることが必要である

したがって、この施設は、生涯学習の総合的な学習・文化センター、学習情報センター広域的学習センター等の役割を担い、多目的機能・構造を有することが不可欠である。

イ 県民に親しまれる施設

生涯学習は、自己の自発的意思を基本として進められるものであるが、学習者同士が交流し、互いに教え合い、楽しく学び合う相互学習も、学習活動の継続・深化を図る上で効果的である。

そこで、学習者が相互に交流し合う広場や、グループ・団体が学習の成果を発表することのできるスペースを確保し、生涯学習を通じて、県民各世代の交流の場としての役割を担い、県民に親しまれる施設とすることが必要である。

ウ 他の生涯学習関連機関・施設とのすみ分け

県民の生涯学習に関連する機関・施設は、県、市町村、大学及び民間教育事業所等、数多く存在している。

したがって、これら関連する機関や施設で行われる生涯学習関連事業とのすみ分けに配慮した施設とすることが必要である。とりわけ、大学等の高等教育機関、県、市町村や民間教育事業所等の生涯学習に関する役割に配慮し、相互補完的な作用をもって対応できるような施設とすることが必要である。

エ 国際化時代への対応

国際化時代に即応して、今後は県民の国際感覚を、より豊かにすることが求められてくる。そのためには、異文化を理解し、尊重することや我が国の文化を正しく理解することが必要である。

したがって、国際化時代に対応できる施設とともに、講座等の開設が必要である。

オ 「宮崎らしさ」創出の工夫

本県には歴史的遺産が多く、古代文化と歴史的財産は、県民にとっても貴重な宝である。そこで、本県の風土、環境、文化等に焦点をあてた講座の開設や学習プログラムの開発等のソフト面を工夫するなど、県民一人一人が郷土に誇りを持ち、地域振興に有為な人材を育成できる手だてを講じることが必要である。

また、「住みよいふるさと宮崎づくり」という県政の大きな柱と連動させる「宮崎らしさ」を創出できる工夫も必要である。

カ 障害のある人々への配慮

障害のある人々に対しては、ノーマライゼーションの精神に立ち、等しく学習の機会を提供できる細かな配慮が必要である。

生涯学習の中心機関となる施設の機能

ア 生涯学習の中心機関となる施設の機能

  • (ア)学習情報提供・学習相談機能

この機能は、生涯学習の中心機関となる施設の中核機能を果たすものであり、以下のことが一体となって整備されることが不可欠である。

a.学習情報収集

学習情報提供・学習相談を支える機能である。初期の段階では国、県、市町村や学校、 社会教育施設等からの種々の生涯学習関連の情報や資料の収集が中心であるが、将来的には、民間教育情報も目的、内容、性質等を考慮しながら、官民一体となった情報の収集もできる機能が必要である。

また、県民には、常に最新の情報を提供することが必要であり、そのための情報の収集、更新、整理、保管等、情報の収集システムの確立も必要である。

b.学習情報提供

パソコンを利用した生涯学習情報提供システム「まなびSUN-NETみやざき」が平成7年1月から稼働し、現在、13市町村と教育事務所、また、県内の大学、高等学校や民間教育施設等とネットワーク化されている。

今後、全ての市町村や社会教育施設等とネットワーク化を図り、県民に情報を迅速、的確に提供できるシステムを構築し、学習機会や指導者等の情報を学習者の求めに応じて提供するため、生涯学習に関する情報を統括する機能が必要である。将来的には、学習者個人が、自宅のパソコンによって、直接利用できることについても検討が必要である。

また、生涯学習に対する県民の啓発、関心を高める上からも、この機能の充実が必要である。

c.学習相談

施設に直接訪れる学習者の相談に応じるとともに、市町村をはじめ、各生涯学習関連機関・施設における生涯学習推進に関わる相談にも応じることが必要である。

また、県民の多様で高度な学習相談ネットワークを形成して、県内一円にきめの細かい相談ができる体制を確立することも必要である。

  • (イ)調査・研究機能

県民の学習ニーズは、多様化・個別化の傾向を示すとともに高度化・専門化している。そのため、絶えず変化する県民の学習ニーズを把握したり、必要な学習条件等について調査したりして、社会的・時代的要請に対応した学習方法、教材、先導的で発展的なプログラムの開発等に努め、資料化して市町村へ提供するなど実践的、具体的な研究が必要である。

また、大学等の高等教育機関との連携を深め、県や市町村等が委託した調査研究事業及び大学独自の調査研究の成果を活用することにより、この機能をさらに充実させる方策についても検討していくことが望まれる。

  • (ウ)指導・助言者の要請・研修機能

県民の学習を支援し、様々な分野における指導・助言を行う人材確保や資質の向上を図るため、各生涯学習関連機関・施設の関係職員研修講座、指導・助言者養成講座等を開設することが必要である。

また、学校教育が、生涯学習の基礎を培う重要な役割を担っていることに鑑み、教職員生涯学習推進に関する研修の充実を図ることが必要である。

  • (エ)講座等の開設機能

県民及び民間団体、企業等の学習ニーズは、高度化・専門化している。そのため、既存の学習の機会や場の枠を越え、生涯学習関連施設などと連携した体系的・継続的・専門的講座や学習プログラムの開発に関連した先導的・発展的な講座を県レベルで開設することが必要である。

  • (オ)関連機関・施設との連携・協力機能

県民の多様化・高度化する学習ニーズに対応するためには、県内の生涯学習関連機関・施設の有機的連携のもとに総合的、効果的に生涯学習を推進することが必要である。

したがって、各圏域における学習機会を整備し、充実するため、社会教育施設、社会福祉施設、教育訓練施設等の生涯学習関連施設や民間教育施設あるいは、大学等の高等教育機関等とのネットワーク化を図ることが必要である。

また、学校教育との連携をさらに強化するため、教育研修センターとの連携・協力を図ることも必要である。

  • (カ)視聴覚センター的機能

生涯学習を効果的に推進するためには、視聴覚メディアは大きな役割を果たすものであり、その整備充実が必要である。

特に、この機能は、生涯学習の情報提供という面からも、文字だけの情報提供にととまらず、映像、音声等もデータベース化することが可能となり、講座等の開設においても、講座の映像や音声を電波にのせることで、受講者の距離的な問題を解決できる部分もある。

したがって、ニューメディアを中心にして、視聴覚関係の研修、教材の製作、提供、ライブラリーという一連の視聴覚的機能の充実を図ることが必要である。

イ 施設内容の体系

上記のような機能を「生涯学習の中心機関となる施設」が持つためには、6つの機能を細分化し具体化するとともに、その細分化した機能を満たすための設備を整えた部屋等が必要になってくる。そこで、以下のようなエリアに分けて体系化を考慮する必要がある。

  • (ア)学習情報提供・学習相談エリア
  • (イ)調査・研究エリア
  • (ウ)研修・学習エリア
  • (エ)連携・交流エリア
  • (オ)併設エリア
  • (カ)基本施設エリア
  • (キ)関連施設エリア
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