県立図書館についてのヒアリング

南 邦和 氏

南 邦和 氏

※ 詩人。日本ペンクラブ会員。日本現代詩人会会員。日本国際詩人協会会員。宮崎県詩の会会長。 政治・経済・教育・文化等各分野で活躍された宮崎県出身者等や、特徴的な戦争体験をもつ方々の話を現在及び将来の後輩たちに伝えていくことを目的として、県立図書館の協力のもと、映像記録「宮崎この人」(DVD)を森川紘忠氏らとともに企画・作成している。

ヒアリング日 平成28年3月28日
聞き手:清家(生涯学習課)・福田(県立図書館)
文責:生涯学習課


図書館を文化サロンに

南 邦和 氏
  • 作家中村地平が館長の時代(昭和22年~昭和32年)は図書館自体の文化性が高かった。ただ本を提供するのではなく、同時に文化を提供していた。谷村博武という詩人が図書館におり、レコード・ライブラリーを担当、彼の個人的魅力で人が集まりサロンを形成していた。この他図書館の職員に、写真家の本條敦己のほか文学者や演劇人などの文化性のある職員がおり、管理職にも落合正行(副館長)という方がおられた。
  • 最近では、図書館は館長など人事面で県上層部に上がるポストとして注目されがちで、あまり文化性は考慮されなくなっていると感じる。黒木淳吉館長の時代ぐらいまでは、図書館に対してもの申すことができたが、今は図書館にいる職員はそういう歴史を知らない。以前の県立図書館を知っている我々は、県立図書館に対して注文をたくさんもっている。
  • 図書館をサロンにする。緑陰コンサートを定期的にし、劇場にする。できればカフェなど食べるものを提供するサービスがあると良い。屋外の緑陰のスペースで子ども向けに「詩の教室」をするなど、祭り(イベント)が必要である。自分が関わった「詩の教室」で、小学生の頃、詩を褒められたことをきっかけに今も書いていると高校生から言われたことがある。屋台を出しつつ教養的な夜祭りをしてもいいではないか。そのためには地域住民との絆が不可欠である。

図書館に近代文学館的役割と人材を

  • 熊本にも鹿児島にも近代文学館があるが宮崎にはない。郷土の作家について知識を吸収できる場がない。牧水と地平を看板に、川端康成、壇一雄など宮崎ゆかりの文学者も取り上げながら、牧水や「竜舌蘭」の系譜も年表にできるのではないか。
  • 文学館がないならば、図書館が郷土資料室など用い展示をするなど文学館として代行したらいいのではないか。図書館と文学館を併合する施設であっても良い。場所と人材がいるかもしれないが、近代文学館はぜひ欲しい。韓国からの旅行者は必ずといっていいほど美術館と文学館の所在を知りたがる。

地元の文学を大切にする風土

  • 自分は韓国の作家や詩人との交流もあり、韓国の文学館を訪れることが幾度となくあった。基本的にどの都市に行っても規模の大きな図書館、県立図書館クラスの施設が地域ごとにある。私立の施設も多い。また、それぞれに地元の作家やその作品を展示し、顯彰に努めている。
    このような風土が宮崎にも根付いてほしい。

活用できるのならば提供したい原稿・蔵書等がある

  • 「革袋が無くて立派なワインができるのか。」という例えがある。宮崎には財閥がないのだから、革袋をつくる努力は行政しかない。私は、宮崎の詩誌を編集していたとき寄稿してもらった、そうそうたる詩人の生原稿を持っている。月替わりに図書館で生原稿を展示し、その下に著作を並べても良い。
    (田中詮三、渡辺修三、神戸雄一、金丸桝一、長嶺宏、黒木清次、黒木淳吉、福島和男、本多利通、みえのふみあき、小野和道、杉谷昭人、大森一郎、真田亀久代、などの原稿のほか、中央の劇作家青江舜二郎などの原稿もある)
  • 「宮崎この人」は、県立図書館の郷土情報担当の協力があり公に認知された。

人材について

  • 県の職員の中にも自分にはこういう才能があるのに何故図書館に登用してくれないのか、という方もおられると思う。
  • 図書館はやはり専門職を大事にしてほしい。図書館なら司書、美術館ならキュレーターが、単なる技術屋ではなく、専門職として自由な発想で館の運営にまで発言できるようになってほしい。館長などトップがそういう考えにならないと難しい。
  • 公ではなく個人的なブレーンを作って、普通入ってこないような情報をキャッチできると、図書館の捉え方が広くなるのではないか。

県立図書館の呼称について

  • (ふざけていると思われるかもしれないが、)宮崎空港が「宮崎ブーゲンビリア空港」となったように、「宮崎県立図書館」というお役所的な名前ではなく、文学館ならば「たまゆら文学館」など、愛称的な呼称を持つと良いのではないか。
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南 邦和氏(詩人 日本ペンクラブ会員)H28.3.28  (PDFファイル 786 KB)
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