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地域学校協働活動推進に係る事例インタビュー

小林市

~コミュニティ・スクールとKSSVC(こばやしスクールサポートボランティアセンター)
  のさらなる発展を目指して~


取材日:令和元年8月29日(木)
聞き手:生涯学習課 佐藤、中野       南部教育事務所 兒玉
               回 答:小林市教育委員会                          
                   主 幹  古沢 博文 さん  教育指導監  藤井 寛史 さん
                        主 査  戸高 明廣 さん   主事補    俣野 優菜 さん
                        KSSVCアドバイザー    甲斐 昭児 さん   堀 太平 さん
                   文 責:生涯学習課


小林市における学校運営協議会の概要について教えてください。

(古沢主幹)
 小林市では、平成25年度に導入し、今年7年目となりました。年に3回協議会を開催しており、学校評価も兼ねて行っています。各校ともに仕組みは定着しています。
 平成29年の地教行法の改正を受け、平成30年に本市でも規則の改正を行いました。具体的には、「地域住民による学校への支援・協力の促進」や「地域住民の参画促進のための積極的な情報提供」について明文化したところです。

小林市「協働の学校づくり」推進協議会との関係はどうなっているのでしょうか。

(古沢主幹)
 本市では、組織が3段階になっています。学校運営協議会は市内全21校で組織されています。その上に、中学校区の連絡協議会があり、各校の委員の代表の方で組織しています。そして、市全体の組織として推進協議会があり、9中学校区から代表校長と委員の代表が年に2回集まり、協議を行っています。この3つの会をもっと連動させていくことが課題であり、推進協議会が市のコミュニティ・スクールの方向性を決める場となるようにしていきたいと思っています。

小林市では、早くから学校運営協議会を導入していますが、どんな成果がありますか。

(古沢主幹)
 委員の声からも分かることですが、学校のことについての理解が進んでいます。例えば、働き方改革に関しても、先生方がどれだけ多忙なのか、どんな状況にあるのかを理解いただいています。これからは、より幅広い地域住民の方にも理解していただけるようにしたいです。

(藤井教育指導監)
 本市は全校で連携型の小中一貫教育を推進していますが、中学校区で話合う機会ができているので、小中一貫教育を進めていく上でコミュニティ・スクールは効果があると感じています。
 また、規則の改正に伴って、地域学校協働本部のコーディネーターが学校運営協議会の委員として1名は入ることになっています。これからは、学校運営協議会の話合いの内容を変えていくことが必要です。

コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的な推進に向けた手立てはお考えですか。

小林市

(古沢主幹)
 せっかくコーディネーターが学校運営協議会の話合いに入っているので、地域学校協働活動についての協議も進めていくよう、次回の推進協議会の場で話題にしていきます。
 例えば、本市には各地区にまちづくり協議会がありますが、その中にある教育部会・青少年部会と地域コーディネーターがつながると、より活動が充実します。よりよい協働活動にしていくための仕組みや方法を話し合えるようにできればと思っています。

(甲斐アドバイザー)
 例えば、細野小学校は校舎内に、西小林小学校・中学校では学校近くの公民館に、それぞれまちづくり協議会の事務局がありますが、既に協働活動の中心となっています。学校運営協議会でも、まちづくりや地域の活性化の視点も持ちながら進めていくとよいと思っています。

(古沢主幹)
 「地域とともにある学校づくり」と「学校を核とした地域づくり」を両輪でと言われますが、学校運営協議会とまちづくり協議会の両方の委員になっている方も多く、どの会議に行っても同じようなメンバーが集まっているという現状があります。委員の方の負担を軽減しつつ広く地域の方に理解される仕組みをつくっていかないといけないと思っています。
 まずは、主催が違っても同じ日に会を設定するなど、できることから変えていき、中身の充実にもつなげていきたいと思っています。


コミュニティ・スクールを所管する学校教育課とKSSVCを所管する社会教育課の連携に加え、まちづくり協議会との連携もできると、理想的な協働活動のネットワークになっていくのではないでしょうか。

(古沢主幹)
 まちづくり協議会と地域学校協働本部がイコールで位置付けられると、学校にとっても地域にとってもwin-winの関係ができ、本当の意味での両輪となることができると思います。もう少しコンパクトに整理できるようにしたいものです。
 細野小学校は、校内にまちづくり協議会の事務局がありますが、これは画期的であり、好事例だと思っています。一律にとはいきませんが、このような取組をブラッシュアップして他の校区に広げていけたらと思います。

校内にまちづくり協議会の事務局が設置されたのは、どのような経緯だったのでしょうか。

(古沢主幹)
 平成28年度から29年度にかけて文科省の委託事業を受けたのがきっかけです。地域の方に学校へ入ってきていただく最適な場所は図書館ではないかと考え、学校図書館の地域開放に取り組みました。そのときに、まちづくり協議会のメンバーの方にも関わっていただいて、話合いを重ねながら事務局の校内設置に至っています。

(甲斐アドバイザー)
 細野小学校では、「ふれあい登校日」という地域の方が子供たちと一緒に登校する日があります。登校後は、校内にある事務局がカフェのようになって、皆さん会話を楽しんでいます。西小林小学校でも、「茶飲ん場」という取組をしており、地域の方が空き教室に集まって、放課後になると子供たちと交流しています。

(古沢主幹)
 学校内あるいは学校近くに地域の拠点があるからこそできることで、無理なく、双方にメリットのある取組になっています。

放課後子供教室について伺います。様々な団体と連携した取組をされていますが、どのように計画しているのでしょうか。

(俣野主事補)
 各教室のプログラムは、それぞれのコーディネーターの方々が計画しています。

(戸高主査)
 市独自にコーディネーターとサポーターの研修会を年2回実施しており、こんな取組ができる、こんな道具を貸し出せるといったことを伝えています。コーディネーターの定例会も年に3回しているので、そこで情報交換もできていると思います。

小林市では、紙屋小学校と栗須小学校の放課後子供教室が児童クラブとの一体型で取り組んでいますが、概要を教えてください。

(戸高主査)
 紙屋小は、児童クラブが学校内、放課後子供教室が公民館で活動していますが、ほぼ同一敷地内にあります。子どもたちは、まずクラブか教室に行って宿題等を済ませて、その後学校のグラウンドに集まって一緒に活動するというのがほぼ日課になっています。また、それぞれが企画した行事への相互参加もしています。
 栗須小は、児童クラブが学校内、放課後子供教室が道路を挟んだところにあるコミュニティ・センターで活動しています。

一体型のよさとして、どのようなことが挙げられるでしょうか。

(戸高主査)
 子どもたちの学び舎は同じですので、別の場所で放課後を過ごすよりもメリットがあります。また、異学年交流も活発になります。児童クラブと一緒に活動すると人数も多くなりますので、より学年を超えた交流ができます。

双方のスタッフの打合せなどはどのようにしているのでしょうか。

(戸高主査)
 栗須小では学校が中心となって、児童クラブ、子供教室、行政担当者による連絡会を立ち上げて、意見交換をしています。子ども一人一人についての情報共有もこの場でできています。
 児童クラブと子供教室はそもそも異なるものですが、サポーターの方々がうまくサポートしてくださっていて、両者の違いを埋めてくれています。献身的なサポートには頭が下がりますが、それが楽しみになっている方々もいらっしゃるようです。

放課後の居場所づくりを、継続的にうまく続けていくために必要なことは何でしょうか。

(戸高主査)
 コーディネーター、サポーターの皆さんには、「無理をしないでください」と伝えています。日頃の生活の一部のように子どもたちに関わっていただくのが一番だと思います。中には、地域から子どもの声が聞こえなくなることは避けたい、子どもたちの元気な姿を見ていたいと話す方や新しいサポーターを見つけてきてくださる方もいます。そんな方々に支えられています。

KSSVC(こばやしスクールサポートボランティアセンター)の概要を教えてください。

小林市

(甲斐アドバイザー)
 地域と学校の協働活動を通して、地域で子どもたちを育てていくこと、活動を通して地域を活性化していくこと、そして、地域住民の生きがいにつながること、地域づくりやまちづくりに貢献できることを目的としています。学校支援だけを目的とした活動ではないという共通理解が必要です。
 昨年度1年間でボランティアに参加した方は延べ30,000人、小中学校全21校で行われた活動の件数は約6,000件でした。
 全校を対象としたアンケートでは、「学校の教育活動の充実」、「地域に支えられ応援される学校づくり」という項目で、「効果がある」との回答が100%でした。ただ、「子どもと向き合う時間の増加」についてはまだ数値が高くない状況ですが、「働き方改革につながっているか」という質問では、8割から9割が「つながっている」との回答でした。


地域の方が学校に入ることによって、どのような効果があるでしょうか。

(甲斐アドバイザー)
 子どもたち一人一人に先生の目が届くようになり、違った視点から子どもたちを評価できるということがあります。また、ボランティアの方からは、子どもたちから元気をもらえるという声を多く聞きます。地域の人が元気になるという点では、地域づくりにもつながっているのではないでしょうか。
 子どもたちにとっては、学校だけではなかなかできない体験的な活動をさせてもらえたり、専門的な知識を教えてもらえたりすること、学校で接する先生方とは異なる多様な発想、多様な価値観にふれることができることなどでしょうか。普段とは違ったコミュニケーションの取り方を学ぶことができますし、学校外での体験活動を通して自己肯定感が高まるといった効果もあると思います。

地域学校協働活動は、先生方の「働き方改革」という面でも効果があると感じていますか。

(堀アドバイザー)
 学校支援を導入した当初の負担はあったのかも知れませんが、長年継続してきていることなので、仕組みができあがっていますし、蓄積されたものがあるからこそ効率化にもつながっています。教育効果が上がることならば、先生たちの負担感ではなく、やりがいにつながります。

(甲斐アドバイザー)
 新しいことを導入しようとすると負担が増すという声が出ますが、それは短絡的な考え方です。そうならないようにするにはどうしたらいいのかを考えていくべきで、私たちはそのお手伝いをさせていただくという気持ちでいます。

アドバイザーのお二人は統括的なコーディネーターという立場だと思いますが、どのような役割でしょうか。

(甲斐アドバイザー)
 2か月に1回、各学校に地域学校協働活動の計画を立ててもらい、その計画をもとに2人で各学校を巡回しています。各学校の活動を取材して広報したり、全校分の1年間の取組をまとめたり、また研修会も開いています。各校区には地域コーディネーターの方が計28名おり、各学校に学校コーディネーター(教員)がいます。

(堀アドバイザー)
 学校が地域の方からの支援を依頼するときは、各学校の地域コーディネーターに相談することもあれば、私たちに相談が来ることもあります。過去の取組実績から、各学校で直接連絡を取っていることも多くあります。

今後のKSSVCの展望をお聞かせください。

(甲斐アドバイザー)
 今は、学校支援だけが目的ではありませんので、地域学校協働活動の趣旨をもっと理解してもらえるようにしていくことが必要です。これからは、まちづくり協議会との連携を図っていくことが効果的だと思っています。私たちが各学校を回って、好事例を紹介していければと思います。

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【小林市】
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